norishideのブログ

皮肉が散りばめられた真面目な文章を書きたい

対話する機械

対話する機械について。人と話すロボットは色んな物語に登場してくるので、これはほとんどの人にとって別に驚きはしない概念だけど、人間が機械に対して人格みたいなものを見出し始めたのはいつのことなんだろう。今日に生きる我々は、その形からは生き物らしさを微塵も見出せないディスプレイに向かって何かをつぶやいている。主に、プログラムが動かない時とか、うまくいかない時とか。むにゃむにゃ。

人と話すロボットと言われて思いつくものはなんだろう。アトム、ドラえもんC3POR2D2、ハロ、HAL3000くらいかな。SFオタクではないからこれ以上思いつくことは難しい。現実世界にこんな愛嬌溢れる、人間を楽しませることのできるロボットがいたらいいですよね。そう思いませんか。

2017年現在、対話する機械はスマホやPCで動くアプリと特定の形のモノが結びついた製品に分けられる。前者ではSiriCortana、女子高生キャラクターのりんなが有名だし、後者ではpepperロボホンAlexaCogniToysなどがあったりする。人の言葉を話すわけではないけど、AIBOはとても有名だ。palroBOCCOOHaNASなんていうのも最近出てきている。botもRobotもたくさんの製品があるけれど、空想世界に出てくるように自由自在に人間とコミュニケーションをするエージェントはまだ存在しない。人間が気を使わなければ、機械と会話を成り立たせられない。課題が沢山ある。とはいえ、一定の範囲の中ではそれなりに対話ができるといった感じ。

 

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対話の仕組みを作っているソフトがあるのだから、スマホかラップトップで対話する機械を作ってしまえばいいのに、なんでわざわざ他の物体を用意する必要があるんだろう。これはIoTの本質を表しているように思える。ハードの見た目、仕草、佇まいと言った「汎用的ではない」モノのデザインこそが、対話において人間の満足度を高めるんだと思う。pepperやロボホンは人型であるのに対し、Alexaはただの円筒だ。この違いはユーザーにどんな体験の違いをもたらすんだろうか。

 

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1967年のSF好きにこんなことを言ったらどんな反応をするだろう。「2017年の対話する機械に脳みそはなく、代わりに雲の中に置いてある脳から逐一通信行って指令を出してその機械を動かすんだ」と。ドラえもん鉄腕アトムがそんな風に動いているとしたらなんか気持ち悪いって感じる。もしドラえもんが車に轢かれて大破したとしても、そこで物語は終わらない。のび太が家に帰る頃には新しいドラえもんが引き出しから出てきて「いやあ轢かれちゃった」とかなんとか言ってるなんて…。でも現在のクラウドの技術を考えるとそんなことは結構な確率でありえそうだ。

CogniToysは子供向けの対話型おもちゃだが、その会話エンジンにはクラウドコンピューティングを使っている。開発者によれば、このエンジンを全て一つのハードウェアに実装しようとしたらとてもコストが高くなってしまうそうだ。確かにSiriは常にアップデートされているが故に素晴らしい。いろんな用途・選択肢はあるにしろ、人形に高度な会話をさせたいなら、一つ一つのハードに会話エンジンを内装する(定期的なアップデートがあるとしても)のは得策でないように思える。ソフトウェアをクラウドから使うか、定期的にアップデートするか、組み込みにするのか。技術的にとても興味深い問題だ。